2004年出版の本。
ワールドコム株に大金を注ぎ込んだ、著者は数学者であり、
ランダムウォーク、市場効率化仮説から始まる様々な話題を詰め込んだ一冊です。
数式は出てこないので、気楽に読めます。
株を始めてしばらく経って思うのは、この本に出てくる話題は、
「株を始めるときにぜひとも知っておきたい」ものばかり。
どうしても投資やトレードが上手く行かなくて、
この本を読んでみると全く知らない話題がある…というときに、
その話題はあなたにとっての「落とし穴」なのかもしれません。
とくに印象的だったのは、「共有知識」という概念。
共有知識は経済学者ロバート・オーマンが提唱したものです。
それは以下の定義によるものです。
ややこしいので、なんとなくで感じてください。
ある情報について、グループの構成メンバーがそれぞれ皆その情報を知っており、
他のメンバーがその情報を知っていることを知っており、
さらに他のメンバーがその情報を知っていると自分が知っていることを
他のメンバーが知っていることを知っている…ということが続くときに、
この情報は共有知識と呼びます。
要は、「これを知っていることを知っていることを知っている…」と
だんだん俯瞰した立場になっていきます。
本では、この定義から導き出される論理的帰結によって、事件が突然発生したり、
株価の乱高下が発生することを説明しています。
ふと思うのは、株価・為替・原油の価格そのものですら、
東京・欧州・ニューヨークと取引時間が移る中で、
共有知識へと変化しているということ。
これはどれだけ市場が効率化したとしても残っている、
人々やAIのフィードバック回路であり、
投資やトレードの利益の源泉となりうるものです。
(ストロング型効率性でなければ)