今年の前半まで、私は他の読書や趣味を脇に置いて、
投資本を読み漁ることを最優先としていました。
本を読むことで、自分の知識がアップデートされ、
新鮮な気持ちで投資・トレードに向かうことができていたと思います。
しかし、読書をしたからと言って、
即、投資・トレードの実力向上にはつながりませんでした。
知的好奇心を満たせるのが投資・トレードの醍醐味の一つですが、
それだけで人より抜きんでることは困難です。
Twitterでは、目いっぱいの本が積まれた本棚の写真が、
タイムラインに流れてくることがあります。
取引画面の向こうにいる相手もまた、
その程度の読書量を軽くこなしているのを知りました。
相場は懐が深く、様々なバックグラウンドの人を受け入れます。
人生逆転を目指す人、資産形成を考える人、楽しみを求める人、
数学・物理・コンピュータサイエンス・統計学(心理学)・プロトレーダー・ファンド。
バリュー投資・グロース投資・鞘取り・クオンツの手法を選んでいる人、
時間軸が短い、スキャ・デイトレードから、長期投資まで。
読書には、様々な知識が書かれていますが、
何かしらのバックグラウンドを持つ人が、
その人の持つ知識を共有するための手段として本が書かれています。
様々な本を読んだというのは、
数々のバックグラウンドによる相場へのアプローチ法の、
その入り口をほんのり知った程度だと言う事を、最近感じています。
入り口には立っていても、
利益を継続的に稼ぐだけの十分な実力には程遠いでしょう。
そこを錯覚して、読書量を実力と錯覚してしまうと、
失敗を積み上げやすいと思います。
それでは本を読んだ後、さらに先に歩を進めるにはどうしたらよいのか。
「血肉化」をキーワードに考えてみたいと思います。
「血肉化」は頭ではなく、体全体で深く知識を理解し、体現するという事です。
そのために、実際取引し、PDCAサイクルをまわすことが王道と言われていますが、
確率や運で左右される相場の中で、自分の実力を把握することは困難を伴います。
自分の実力に相応の技(手法)を行っているのかさえ分かりません。
ただ、実力ではなく「血肉化」は、
取引結果以外の面で現れてくることもあるのではないでしょうか。
システムトレードでは、検証の絶対数を積み上げることで
ロジックの堅牢性や、ロジック構築のコツが見えてくることがあります。
特定の投資手法なら、相応の財務分析や決算資料の読み込みをして、
単に本の知識でかじったこと以上を、読み取ることができるでしょう。
そうした試行錯誤は、専門性を深め、「血肉化」を促進させます。
「血肉化」の結果、エッジと運が許せば、実力が取引結果に表れてくるのだと、
今は思っています。
血肉化のためには、どこかの分野の専門性を深めることが必要です。
オールラウンダーには憧れますが、
「どこに心血を注ぐか」というリソース配分も無視できません。
まとめると…
本は相場に必要なバックグラウンドを一様に教えてくれます。
ですが、本を読んだだけでは、まだ入り口であり、人に先んじることは困難です。
琴線に触れる分野のバックグラウンドを理解し、その専門性を突き詰めることは、
読書より一歩先の血肉化、実力へとつながるのではと考え、
今後の投資・トレード生活を過ごしてみたいと思います。