米国株への投資は、ドル円の為替リスクの影響が避けられません。
ドル資産を分散して保険で持つという意味では、
為替リスクを意識しない手はあります。
ただ、インフレ正常化と日銀金融正常化の思惑だけで、
150円台から130円台と13%も円換算で資産が上下するというのは無視できません。
また、ドルと円を行き来し、
ある程度のスパンで買ったり売ったりをしているのであれば、
ドル高で安い株を買い、円高で高い株を売るということは避けたいところです。
暗号資産も、ドルペッグの通貨を使ったり、評価額をドルベースで考えることが多く、
大きな値上がり益が得られるとしても、
その資産の運用がドル円に影響されるのも避けたいところではあるでしょう。
この問題にどう対処すればいいでしょうか。
ドル資産の為替リスクを避けるためには、
FXで同じ金額分、ドル円のショートを行ってヘッジするのが基本的です。
しかしながら、現状年4~5%のスワップ支払い、あるいはヘッジコストを支払うのは、
かなり重荷になります。
米国株で利益を上げても上げなくても、
パフォーマンスから4~5%を差し引かれると考えれば、
そのコストの重さが感じられます。
そこで、FXオプションでのヘッジを考えてみます。
ドル資産を持っていて、長期のドル円プットを買い、長期のドル円コールを売ります。
これはカラー取引というヘッジ方法になります。
ここで為替のヘッジコストがなくなる・・・というわけではなく、
その分はプット側(円高ヘッジができる側)のプレミアムが高くなっています。
そのため、オプションの満期時点で、完全ヘッジが行われるのは、
かなり円高寄りの権利行使価格からとなります。
ただし、期中においては大部分がヘッジされます。
では、オプションの為替ヘッジにメリットがあるのでしょうか。
満期までドル円がそれほど変動しなかった場合、
コストを節約できる可能性があります。
全く為替レートが変わらなかった場合、
ヘッジコストはプットのプレミアム支払いとコールの売りのプレミアム受け取りで
相殺された分となります。
これは権利行使価格の選択次第で、ゼロにすることが可能です。
ゼロにするには、プット側の権利行使価格をかなり離さないといけないため、
満期時にはその分の円高リスクは受け入れないといけません。
これについては、途中でオプションをさらに満期の長いものへと
ロール(繰越す)することで、ヘッジ効果を維持することができます。
注意点としては、カラー取引の損益線はバーティカルスプレッドと同じため、
ドル円が長期で徐々に下げていく状況では、
オプションをロールすると、プット側の権利行使価格をさらに下げるため、
その分ヘッジしきれない分から継続的に損失が出ます。
このように注意点はあるものの、ヘッジコストと為替リスクの柔軟な調節ができる、
FXオプションは魅力的です。
現在、FXオプションは限られた証券会社でしか取り扱っていませんが、
利用してみるのはいかがでしょうか。
私も、オプションでヘッジすることで、ドル円の相場をみて躊躇するようなことなく、
米国株と米国株オプション(ドル建て)、暗号資産を取引できるようになりました。
もう少し早く学んでおけばと思いました。