2024年1月SQ締めまでの1か月間のポジションは、
主にオプションの売り戦略に偏っていました。
もし想定通りの相場観で保有をしていたら利益になっていたのが、
リスク管理上の早めの損切によって、損失計上されるという状況になりました。
「ポジションをホールドしていたら利益になっていたのに」という、
トレードあるあるの状況であり、
かといってリスク管理を緩めるわけにもいかず、
少し悩んだわけです。
これは先日の記事に書いた通り、
満期損益でもなく、途中損益でも情報量が足りず、
オプションの損益のブレは原資産価格の値動きに経路依存している故のものです。
ポジションを持って、いきなり逆行されたら、
ホールドしていれば利益になるといっても、
「ひょっとしたら大損するかもしれない」ということで、
ホールドするのが得策ではありません。
オプションのメリットとして、
「相場観をポジションに落とし込める」というのがあります。
レンジ想定のアイアンコンドルがその代表例でしょう。
しかし、アイアンコンドルも満期保有の場合、よほどのエッジがない限り、
インザマネーのなりやすさが統計的に反映されるだけの損益分布となります。
また、急騰急落で一気にレンジを外れた場合などで、
ポジション保有が精神的に容易かというと、そうではないと思います。
やはり原資産の経路依存性が、トレードに揺さぶりをかけてきます。
経路依存性は敵ではなく、
むしろある種の経路になることを期待してベットし、
デルタヘッジ、損切、ポジションの組み換えによって、
利益を紡ぎだしていくという方が、
オプショントレードの醍醐味の一つであるように感じます。
そう考えると、相場観からオプションのポジションで落とし込む際には、
相場観から、
「どの経路を通ることを期待するか」
「こういう経路になったらどう対応するか」
ということを具体的に考えていくということになります。
逆行しても順行してもポジションを保有し続けられるかどうかは、
トレーダー各々のメンタル構造に依拠しますので、
自分を分かっていないといけないという面もあります。
難しいのはエッジの部分です。
「ある経路になることにベッドする」、
あるいは「特定の経路に対してこう対応する」ということが、
本当にトータルプラスになるのかということです。
現実的な方法としては、
リアルタイムスプレッドシートでオプショントレードのツールを作り、
仮想のポジションを組みます。
似たような市況で同じポジションを組んだら、
どういう損益になるかをシミュレーションしておくということです。
これでわかる例としては以下があります。
急落により市場が驚きコール側のIVが上昇し、
さらに下げるのか、上げるのかわからないとき、
フルヘッジベアシンセを組むというものです。
ボラティリティトレードではあるのですが、
今までの下落の経路、これからの上昇・一層の下げの経路に対する市場の反応は、
ある程度分かっているということでエッジが残っています。
ただ、上記の例は、万年変わりゆく相場と相場観を、
オプションのポジションに落とし込むこととは若干ギャップがあるように感じます。
中身の見えない袋から玉を出して色をでたらめに当てるのと、
優位性のある相場観でオプショントレードをしていくのとは、
何によって差別化されるのか、もう少し深く考えたいところです。
相場観を当てたり、「特定の値動きの経路を許容し利益に変える」ということは、
原資産がランダムウォークをしていないということです。
あるいはランダムウォークをしていても、
そのボラティリティの変化を当てることができるということです。
ランダムウォークをしていた場合、
オプションのブラックショールズモデルにもある通り、
期待値は0であり、
オプションのインザマネーのなりやすさが
統計的に反映されるだけの損益分布となります。
(アイアンコンドルと同じように統計的な収束をします)
デルタヘッジの場合は、
インプライドボラティリティと実際のボラティリティの差が
損益として現れてきます。
「ランダムウォークはしないことがある、ボラティリティは変化することがある」
という観点からであれば、エッジを見つけ出すこともできるかもしれません。
少なくとも、都度都度刹那的に転々とした相場観を持ち、
ランダムウォークな状況の市場に翻弄されるというのは少なくなるのではないでしょうか。