オプションを利用すると、
原資産のロング・ショートだけでは行えなかった、
リスクパラメータの調節を行うことができます。
この調節は習熟を要するものですが、
それに見合うだけの有利な取引を行うことができるでしょう。
「優位性のある取引」というと、
確率的なエッジを指すことが多いですが、
今回の記事では、それとは少し異なる、
ポジション組成・維持・決済において役立つ、
「優位性のある取引」の発想基準を考えてみたいと思います。
私の尊敬するオプショントレーダーであるゑもん。さんは、
こちらのブログを運営しています。
このブログは日経225オプションのボラティリティトレードにおいては、
非常に役立つトレード技術が満載です。
ゑもん。さんがブログにて、よく言及することに、
「三対二の法則」があります。
「3つの想定シナリオのうち、2つで利益になり1つは損失となる」、
勝ちやすいエントリータイミングとポジションでトレードするということです。
これは、「上か、下か」の丁半の発想になりやすい原資産の売買とは対照的です。
オプションの優位性を存分に生かした売買には、
「三対二の法則」は役立つ発想となるでしょう。
オプションでは単に上げ下げだけを予想しても、不利な取引になることがあります。
例えば、原資産が急落し、リバウンドを取るためにコールを買ったとします。
実際に、リバウンドをし始めたとします。
しかし、インプライド・ボラティリティは下がってしまい、
コールは思うほど値上がりしないかもしれません。
この場合、ベガリスクを排除したうえで、
原資産の値上がりに賭ける必要がありました。
反対に、原資産が上昇トレンドでさらに急上昇を始めると、
インプライドボラティリティは上昇します。
このときコールを買っていれば、
デルタとガンマ、そしてベガの三つで同時に利益が乗ります。
つまり、「2つあるいは3つのリスクが一気に追い風となる局面を狙う」ことは、
オプションで有利な売買をする局面判断に役立つでしょう。
オプションの時間的要素を味方につけると、
当初の損失は小さく、利益は大きくというリスクリワードの良いトレードが行えます。
これはデビットスプレッドで顕著です。
デビットスプレッドは当初はデルタも小さく、逆行してもそれほど痛くありません。
順行したところでホールドを継続すると、
デルタは傾き始め、セータは味方になり、時間とともに利が伸ばせます。
これはデビットスプレッドの当初のデルタと同じ原資産を売買するよりも、
有利です。
「失敗しても原資産売買損失が小さく、想定したシナリオになるとより優位になる」
ということは、ポジションを持つかどうかの基準に役立つでしょう。
では、ポジションのホールドを続けるか決済するかどうかということに、
なにか発想・基準はないのでしょうか。
洋書になりますが、"Trading Options Greeks"という本に、
以下の基準が書かれています。
「もしポジションを持っていなかったとしたら、
あなたは現在のポジションを持ちたいと思えるか」。
オプショントレードでは塩漬けは厳禁です。
しかし、そこまではいかないにしろ、ホールドに判断に迷う局面があります。
そのとき、この問いかけを行うことは、
冷静な判断を取り戻すのに役に立つことでしょう。
以上、オプショントレードを有利に行える発想・基準を
いくつか紹介しました。
オプショントレードは面白い売買である一方、
ポジション組成の複雑さに混乱することがあるかと思います。
そのポジションが「優位性のある」ものかどうかを、
シンプルに判断することに、
今回紹介した発想・基準は役立つかと思います。
ぜひお役立てください。