最近、今までで最もトレードへのモチベーションが低い状態となっています。
それはなぜなのか。
ちょっと自己分析してみると、
「トレードに対するある種の幻想が晴れた」ことに起因することがわかりました。
このことについて、詳しく書いてみたいと思います。
私は、「聖杯はない」(楽して稼げるお金はない)とは頭では理解していました。
いわゆる裁量トレードでは、
PC画面に張り付く時間を割くことが最低限必要だと考えていましたし、
システムトレードでは、
アルゴリズム開発やバックテストを継続的に行う必要があると考えていました。
ただ、学習曲線がいつか右肩上がりになると、期待していました。
努力はいつか報われる。
暗中模索の状況から、知識がぽつぽつと増えていき、
いつかは霧が晴れるように利益が出始める。
学習曲線が底を描き、右肩上がりになり始める。
そのような状況を希望として抱いていたのです。
読書は特にその希望を達成するための手段となり得ました。
自分の中で、投資・トレードでどこか躓いた手応えを得ると、
そのヒントを得るために本を読むのでした。
ヒントといえば表現が軽いですが、
要は「即効性のある処方箋」…聖杯に近いものを求めていたのでした。
処方箋が示している銘柄や手法があれば、
それを無性に取引したくなりました。
個別株・FX・先物・オプション・商品CFDといろいろ手を付けました。
(手を付けたことで、各々の値動きの違いに敏感になったのは、
よいことではあるのですが…)
今、モチベーションが最も低いのは、
「そのような即効性はない」と痛感しているからと言えます。
つまり幻想が晴れたのです。
もっと地道な手段で着実に「何か」を積み上げつつ、
確率や不確実さを相手とするので一進一退の取引結果を受け入れつつ、
わからないこと・できないことはいつまでも残るのを覚悟しつつ、
もっと長期的な視野に立つことが必要なのでしょう。
『敗者のゲーム』という書籍があります。
インデックス投資の教科書的書籍です。
この書籍にあるような「敗者とならないこと」を
ようやく意識し始めたのだと思います。
必要以上にスプレッド、手数料を支払う。
誤発注してしまう。
センチメントに従ってしまう(往々にして市場は逆を行く)。
恐怖で売って、強欲で買ってしまう(行動ファイナンス)。
余計なポジションを持ってしまう(過剰取引)。
資金管理を怠る、資金量に見合わないポジションを取ってしまう(破産への近道)。
損切りできない。
etc....
上記のような「ボロ」を出して敗者にならないことが前提であり、
その上に何を補い、積み上げるか。
過剰に本に頼らず、自分で咀嚼したものを考えださなければならない必要性が、
今生じているのだと思います。
ただし、これにはとても困難があり(特に機械的な検証作業)、
冒頭で述べた、
モチベーションが低くなる大きな要因となっているのです。
最近、日経平均とオプションに取引銘柄を絞っています。
そのポジションが単なる「当て物」では、進歩はないと考えています。
毎回毎回くじを引いて当たり外れに一喜一憂するのは違うのではないかと思うのです。
ただ、裁量が大きく入り、機械的な検証が困難な状況で、
やれることは何なのか?
一つ目は、「対応できる範囲を確認する」ことです。
どの程度の間隔、どの時間帯で、ポジションを修正できるかどうか。
オプションを裸買いして、ただ損失が出るまで放置するのと、
ポジションを持った後分足単位でしばらく監視し、
値動きに対応して損切りや、ポジション修正を行うのでは、
結果が異なるものになります。
二つ目は、「繰り返す値動きとスマイルカーブのパターン変化から、
有意性のあるポジションを組む。またはその研究をする」ということです。
機械的な検証(メカニカルなシグナルを使用する検証)は困難ですが、
確かに「この状況ならこのポジションが有利」というものが存在します。
これは一つ目の「自分が対応できるか」どうかと重なってきます。
いつも有利な状況があるというわけではありませんが、
数あるポジションの中で、
有利なポジションだけは組めるようになっていくということは、
トレードスキルを上げることにつながると思います。
また補足となりますが、
裁量といえども、いわゆる「システム」を持つという視点もあります。
これは、機械的な検証で優位性が実証されていればなおよいですが、
「ある仮説をもとに、それに従った値動きを取ることを狙う」というものです。
この辺りについては、
『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』やラリー・ウィリアムズの本に、
アイデア(聖杯ではありません)が数多く掲載されています。
この「仮説を立て、その値動きを取る」ということは、
仮説の設定やその検証に非常に困難が伴いますが、
検証と裁量トレードを結びつけた究極の形ではあり、
短期売買の天才たちが行っていたことを考えると、
意識はしておいた方がよいのかもしれません。
補足を含め、上記三つのことを意識し、
モチベーションの低い状態を脱したいと思います。