「人は、利益の快楽より損失の苦痛は大きく、
利益は確実に、損失はギャンブル的にチャラになることを狙いやすい」
という傾向です。
これに従ってしまうと、非常に負けやすくなります。
あるラインを超えると必ず負けてしまいます。
なぜでしょうか。深堀してみたいと思います。
プロスペクト理論は知識としては、知ってる方はとても多いと思います。
プロスペクト理論に従った、負ける取引とは以下のようなものです。
少しの含み益で利確、含み損は建値まで耐える。ただ、仕方なし損切するころには資産比10%以上の損になる。エッジがあれば大負けしてもトータルプラスを期待する。勝率は高い。
勝率の高さは、損切幅が広いことに起因します。
エッジがあれば、トータルプラスになるでしょうか。
残念ながらなりません。
資産比10%の損ということは、元の資産に戻るためには、
減った資産から11%の回復が必要です。
10%でないのは、これが複利運用を前提としているためです。
資産比が20%の損の場合、25%の回復が、
50%の損の場合は、資産を2倍にすることでやっと原資に戻ります。
この資産の回復を、微益確定だけで行わなければなりません。
果たして可能でしょうか。
大勝ちはないのですから、困難が伴います。
コツコツドカンというプロセスが何度も起こりえます。
「コツコツ利益を積み上げる」とは言いますが、
プロスペクト理論に従った売買方法ではダメなのです。
資金管理の面ではどうでしょうか、
ここまで資産にダメージが来ると、破産確率は0ではありません。
つまり、どこかで数学的に破産するという、当然の帰結が待っているのです。
このプロスペクト理論に則った行動を真に避けるためには、
2段階必要です。
まず、その破産への当然の帰結を理屈で理解します。
次に、実際の売買で行わないよう、訓練します。
「これが必ず負ける方法であるのならば、この逆をいけばいいのではないか。」
これは、非常に鋭い指摘です。
つまり、「損小利大」を目指すということです。
損小利大の場合、損切幅を狭め、利益は伸ばせるだけ伸ばします。
(現実的には、損切幅の2倍の幅で利益確定します)
破産確率を0にするため、一回あたりの損は、資産比2%以下に抑えます。
そして、忘れてはならないのは、エッジがそこに存在するということです。
有名なトレーダーラリー・ウィリアムズは、
わずかばかりのエッジと、
損小利大の売買ルールを組み合わせたところ、
トータルでプラスになる「稼ぐ」トレードシステムを開発できたとのことです。
損小利大と相性の良いエッジの一つは「トレンドフォロー」であり、
それほど発見の難しいエッジではありません。
ただ、実践は簡単ではありません。
勝率は30%~40%と低いため、
メンタル的には「負けが続いているように感じ」るので、継続が難しいです。
トレンドフォロー自体は発見の難しくないエッジではあるものの、
売買ルールをどうするかというのは、やはりそれなりの試行錯誤と検証が必要です。
そして、理屈を知って、その後染み込ませるために実践するということが、
ここでも必要となります。
もし、損「大」利「小」の取引を今までしていて、
勝てないなと思っている方がいましたら、
この記事を読んで、振り返ってみるのはどうでしょうか。