以前、「なぜ投資・トレードでニュースを追う必要があるのか」という
記事を書きました。
センチメントをつかみ、ニュース発表後の反応の各種タイプをうまく利用することで、
織り込みが絶えず行われる市況から利益をつかもう、という旨の内容でした。
今回の記事はそれを深堀し、
具体的にポジションを持つにはどうしたらよいか
自分の今後の戦略に生かすためにも、考えてみたいと思います。
「ニュースを知って、センチメントやコンセンサスは分かった。
けれど、それらは右往左往し、それをつかもうとする自分たちも右往左往する」
ということはよくあると思います。
日銀の金融政策への思惑で、この2・3年かなりの値幅を上下しています。
現在は「日銀はマイナス金利政策を解除しても、その後利上げを次々には行わない、
緩和状況を維持する」ということが、コンセンサスとなっており、
マイナス金利政策の思惑は薄らぎ始めています。
総裁は変わったものの、緩和状況を続けることは一貫して発表していたわけで、
「思惑で、これだけの乱高下をするなんて、ひどすぎる」と思うのは、
自然なことだと思います。
ただ、このよくある乱高下や思惑の変化をうまく乗りこなし、
投資やトレードを成功させたいものです。
ここでは、まずセンチメント・コンセンサスと市況のタイプを
分類してみたいと思います。
- 公的機関と異なるコンセンサスを持つ
例えば、FRBの利下げペースが、FOMCの見通しよりも早く行われるという
コンセンサスがありました。
現在は3月の利下げは、ほぼないというコンセンサスにとって代わられています。
公的機関と異なるコンセンサスでも、強い思惑となり、一相場発生します。 - ファンダメンタルとセンチメントが一致する
これは大相場を発生させるつよい組み合わせです。
景気後退懸念の薄い日本は、株式市場に資金流入が起こりました。 - ファンダメンタルが明らかになり、材料出尽くしとなる
「噂で買って、事実で売れ」です。
懸念により、市場が先回りをして値動きが発生してしまい、
ニュースが出るころには、皆がポジションを閉じようとしています。 - センチメント、コンセンサスとは異なるサプライズが発生する
ファンダメンタル的にその解釈が大きく変わるサプライズが発生すると、
市況が様変わりします。
高インフレ状況下で米国消費者物価指数の数値次第で、
市況が変わったのは、いまだ記憶に残るところです。 - 懸念材料がある中で、市況が動く
「実際にネガティブな材料が発生するかも」というなかで、
株価指数は上げてしまいます。
というより、懸念材料があるから安く買えるということかもしれません。
リスクを取った投資家は、その後の強気相場で果実を得ます。
以上、分類をしてみました。
一見どれも明確なように思えます。
センチメントやコンセンサスが明らかなら、
「その時に適切なポジションを持てば一相場ごとの流れを取れるのではないか」と。
それが難しいのは、
織り込みのスピードと、市場参加者のフィードバックループがあるためです。
最初から分かってしまうとアルゴによって急速に織り込まれてしまいます。
そうでない場合は、センチメント・コンセンサスが固まるまではっきりしません。
固まるまでの間に、値動きやトレンドが発生しているのです。
ファンダメンタル・センチメント・コンセンサスの変化の察知は、
それができれば、上記の困難を乗り越え、
マーケットから利益を持ち換えられるでしょう。
ただ、それを行うには「まさかそういう変化は起きないだろう」という、
虫の知らせを素通りしてしまう心理と戦わなければなりません。
そこで、現在のファンダメンタル・センチメント・コンセンサスが、
上記のどのタイプに属するかを考え、
ポジションの持ち方を工夫してみるという戦略を考えています。
- 公的機関と異なるコンセンサスを持つ
公的機関とマーケット、どちらかが間違っているか、
どちらも間違っているかもしれません。
それが明らかになったときはサプライズとなります。
どうなればサプライズになるのか、どう市場は反応するのか想定してみると、
ポジションを持つアイデアが浮かぶかもしれません。
また、コンセンサスは別の材料が出るまで、
そのコンセンサスに留まろうとすることが少なくないため、
そのトレンドが発生しているのであれば、
短期で乗ってみるのも悪くないかもしれません。 - ファンダメンタルとセンチメントが一致する
最初は、センチメントがはっきりしません。
ただ、材料があった場合は監視銘柄としては追加しておき、
トレンド発生時にトレンドフォローの手法でついて行けば、
過度にセンチメントを気にしなくても、乗り遅れずに済むかもしれません。 - ファンダメンタルが明らかになり、材料出尽くしとなる
「思惑」が発生したときにポジションを持ってしまうのが吉です。 - センチメント、コンセンサスとは異なるサプライズが発生する
パニック的なものの場合、ボラが大きくなる可能性があります。
「まさか」ということですので、
保険的なオプションの買いと相性が良いかもしれません。
ただ、サプライズが発生するまでは、コストを継続して支払うことになります。 - 懸念材料がある中で、市況が動く
おそらく、「すべての懸念材料が晴れる」とき、
利益はもう手に入らないのでしょう。
逆に考えると、優位性があるとも言えます。
恐怖を感じながらも、ポジションを持つことが肝要です。
損した場合は、そのためのリスク管理とも言えるかもしれません。
以上、戦略を書いてみましたが、
タイプ別に分けるだけでも、ある種の整理が出来、
マーケットに左右されない投資・トレードプランとメンタルを構築するのに
役立つのではないでしょうか。
ある程度共通するのは、何かしらのポジションを早めに持ってしまうこと、
トレンドに乗る戦略を利用することです。
むやみやたらにポジションを持つのは得策ではありませんが、
重要な材料・イベントはある程度つかめますので、
その節目を利用して軽くポジションを持ってしまえば、
ある程度の優位性を担保された状態で、投資・トレードを行えるという算段です。
その際、押し目・戻りを待たないということも重要です。
そのため、ダメージを負っても大丈夫なように軽くポジションを持ち、
トレンドが発生し含み益になったことを利用し、増し玉をするというのが、
戦術としても負けにくいように感じます。
私も、この記事の内容を踏まえて実践を続け、
新たな気づきがあれば、また記事にしていきたいと思います。